薄力粉と強力粉、同じ粉なら使い方も一緒と勘違いしていませんか?
見た目は一緒でも中身は全然違います。どんな風に違うのか?どう使えばいいのか?
一緒に薄力粉と強力粉について見ていきましょう。
目次
薄力粉と強力粉の違い
薄力粉と強力粉は、お菓子やパンには欠かせない材料ですが、一番大きな違いはタンパク質の含有量です。
小麦粉の種類はタンパク質の含有量によって分類され、薄力粉・中力粉・準強力粉・強力粉の順に含有量が多くなります。
では、タンパク質の含有量がどんなふうに違うのか、一緒に見ていきましょう。
薄力粉
タンパク質の含有量:7.0〜8.5、グルテンの質:軟弱、粒子の大きさ:細かい、使用目的:ケーキ・クッキーなどのお菓子
中力粉
タンパク質の含有量:8.5〜10.5、グルテンの質:軟、粒子の大きさ:やや細かい、使用目的:フランスパン・そうめん・うどんなど
準強力粉
タンパク質の含有量:10.5〜11.5、グルテンの質:やや強、粒子の大きさ:やや粗い、使用目的:ロールパン・中華麺など
強力粉
タンパク質の含有量:11.5〜13.5、グルテンの質:強靭、粒子の大きさ:粗い、使用目的:パン
デュラム粉
タンパク質の含有量:11.5〜12.5、グルテンの質:柔軟、粒子の大きさ:極めて粗い、使用目的:マカロニ・スパゲッティ
小麦粉の種類はタンパク質の量や粒子の大きさなどによって変わります。
見た目は同じですが、タンパク質の含有量が変われば、用途や仕上がりは大きく違います。
例えば、打ち粉を粒子が細かい薄力粉ですると、使えば使うほど生地に薄力粉が入ってしまいます。
その点、粒子の粗い強力粉を使えば、最低限の量しか生地にくっつきません。
用途にあった使い方をしないと、見た目は一緒でも味に大きな違いがでます。
グルテンについて
お菓子やパンなど、小麦粉を使った料理やお菓子でよく聞くグルテン。
グルテンは小麦に含まれるタンパク質のことを言います。グリアジンとグルテニンという、2つのタンパク質が絡み合うことで、グルテンができます。
小麦粉に水分を加えて練ることで、練れば練るほどグリアジンとグルテニンが絡み合い、より強いグルテンになります。
小麦粉と水分を加えるだけでは、強いグルテンは作れないので、よく練り合わせてグルテンを成長させましょう。
・グリアジンは流動性のあるネバネバした物質
・グルテニンは硬いゴムのような弾力のある物質
お米やパンのもちもち食感・粘り気・弾力は、小麦に含まれるタンパク質『グルテン』によって作られます。
グルテンの含有量は粉によって違うため、薄力粉と強力粉を同じように練っても大きく違いがでるので、用途に合わせた小麦粉を選びましょう。
グルテンの粘弾性
生地を休ませる工程は、お菓子作りによく出ますが、休ませることでどうなるのでしょうか?
練り合わせたばかりの生地は弾力が強く、伸ばしても、元の状態に戻ろうとする力の方が強いため、生地の扱いが難しいです。
ところが、生地を休ませることでグルテンの粘弾性が変化して、弾力が弱くなり、生地が扱いやすくなります。
生地を休ませる目安ですが、休ませて30分ほどで半分・1時間で1/3ほどになります。
これはグルテンの強い強力粉だけでなく、グルテンの弱い薄力粉にも同じことが言えますので、生地は休ませてから使う方がいいです。
グルテンで生地の骨格
生地の骨格と書けば難しく見えますが、要は生地の中のきめを整えるということです。
パン生地を発酵させると生地が1.5〜2倍近く膨らみますが、これは生地の中にガスが発生することで膨らみます。
もしこの状態で焼いしまったら、きめの粗い口当たりの悪いパンができます。
発酵した生地は、叩いて中に入ってるガスを抜いて、きめの大きさを整えましょう。
グルテンの性質
パンを作る時必ず塩をいれますが、これには理由があり、塩を入れることでグルテンのコシを強くします。
それ以外にも、材料との組み合わせによってグルテンを強くする材料・弱くする材料があります。
塩
塩を加えると、全体がグッと締まって粘りや弾力がでます。ただ、塩が多すぎるとイーストの発酵を抑えてしまい、パンが膨らまなくなります。
基本は1〜2%、多くても3%以下にしましょう。
油脂
小麦粉と油脂を水分より先に混ぜておくと、小麦粉に油脂がまとわり、水を吸収するのを抑えグルテンを作りにくくします。
逆に、小麦粉と水分を練ってから油脂を入れると、グルテンのつながりを油脂が切ってしまうため、グルテンの粘りや弾力を弱くします。
砂糖
小麦粉と砂糖を合わせてから水分を加えると、先に砂糖が水分を吸収するため、グルテンを抑えます。
薄力粉と強力粉は代用できる?
薄力粉と強力粉について説明してきましたが、基本的には代用は不可。と考えてください。
ただし、レシピによっては、一般的に薄力粉で作るスポンジケーキを、薄力粉と強力粉を合わせて作ることもあります。
ケーキ=薄力粉・ケーキ≠強力粉
パン=強力粉・パン≠薄力粉
など固定概念を強く持ちすぎないことも大切です。
例えばホワイトソースを作る時に、薄力粉ではなく強力粉で使うなど、とろみをつけるためにと目的が明確な場合は代用しても大丈夫です。
薄力粉の選び方
製菓材料店に行くと数十種類もの薄力粉が店頭に並んでいます。
いったいどうやって選べばいいのでしょうか?見るべきポイントは2つなので、選び方を見てみましょう。
タンパク質
タンパク質の量が少ないほどグルテンが出にくく、きめ細かい軽い食感に仕上がります。
薄力粉によってタンパク質が違うため、軽い食感にしたい場合は少ないものを、ホロホロ食感で小麦の味を楽しみたい場合は多いものを。
作りたいお菓子に合わせて選びましょう。
灰分(かいぶん)
灰分とは、小麦粉の胚芽部分や外皮に含まれるミネラル分のことです。
灰分が少ないと小麦の風味の軽い、白いきれいな焼き上がりになります。
ふんわりと軽い食感に仕上げたいスポンジケーキには、灰分が少ないものがおすすめです。
逆に灰分が多いと小麦粉の風味の強い、くすんだ焼き上がりになります。
クッキーなど小麦本来の味をしっかり感じたい時は、灰分が多いものがおすすめです。
お菓子におすすめの薄力粉3選
特宝笠
タンパク質含有量:7.6±0.5% 灰分:0.35±0.02%
タンパク質の含有量が少ないため、しっとりした焼き上がりとソフトな口あたりが特徴です。
ロールケーキやカステラなど、スポンジ系のレシピにはピッタリ。プロのパティシェも注目している薄力粉。
スーパーバイオレット
タンパク質含有量:6.5土0.5% 灰分:0.35%
パティシェに人気の薄力粉で、ケーキ屋でよく使われている定番の粉です。
タンパク質の含有量が少ないので、きめ細かく軽い食感が特徴。灰分も少ないため、卵や乳製品の風味を引き立たせます。
ドルチェ
タンパク質含有量:9.3+0.5% 灰分:0.41+0.03%
北海道産小麦100%の国産の薄力粉。
タンパク質の含有量が他2つに比べると1.2〜1.5倍近く多いため、小麦の味をしっかり味わうことができます。
国産の薄力粉は意外と少ないため、安心できるのもポイントです。
強力粉の選び方
強力粉も薄力粉と同じように、タンパク質と灰分の含有量によって仕上がりが違います。
タンパク質が多いほどふわふわで、少ないほどもちもちに仕上がります。
灰分も同様に、多いほど小麦の風味が強く、少ないほどあっさりした仕上がりです。
パンにおすすめの強力粉3選
春よ恋
春よ恋 / 1kg TOMIZ/cuoca(富澤商店) 小麦粉 北海道産強力粉 強力粉
タンパク質含有量11.2±0.7% 灰分0.41±0.04%
人気の国産強力粉は、日本人の好きなふわふわもっちり、まるで炊き立てのごはんを思わせます。
ハード系からリッチ系のパンまで、どんなパンとも相性がよく、国産小麦で遺伝子組み換えの心配もありません。
安心して美味しく食べられるおすすめの国産強力粉です。
カメリア
タンパク質含有量11.8±0.5% 灰分0.37±0.03%
スーパーでもよく見かけますが、色と風味のバランスがよくどんなパンとも相性がいいです。
手軽に購入できるので、悩んだ方はこちらを選ぶのがおすすめ。
スペルト小麦
タンパク質含有量11.4~12.5% 灰分0.6~0.7%
聞き馴染みがないかもしれませんが、小麦粉の原種にあたるもので、人工的な品種改良・遺伝子組み換えがほとんどされていません。
農薬・除草剤・化学肥料を使わず栽培でき、グルテンが少ないため、アレルギーを持っている方も発症しずらいと言われています。
自然本来の小麦粉の香りを楽しめ、おいしさと健康を併せ持つ強力粉です。
まとめ
薄力粉と強力粉は、同じように見えても用途が大きく違うことがわかりましたね。
小麦粉の種類が違えば、同じように作っても全く違った仕上がりになります。
おすすめの薄力粉と強力粉を見つけて、オリジナルレシピを見つけていきませんか?
今回もご閲覧ありがとうございます。
よしみけ٩(ˊᗜˋ*)و
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