「はちみつは1歳未満に食べさせてはだめ!」とよく耳にしますが、ご存じの方も多いと思います。商品のパッケージには注意書きが義務づけられていますが、これは子どもの命を守るための大事なメッセージです。
2017年に、はちみつを食べた赤ちゃんが乳児ボツリヌス症を発症し死亡した、悲しいニュースが起きています。この記事では、なぜはちみつは1歳未満は食べてはだめなのか?何歳からOKなのか?はちみつに潜むボツリヌス菌などについて解説します。
はちみつは何歳から食べられる?
1歳を過ぎたらはちみつはOKなのか?

死亡事故が起きたこともあり、何歳から食べて大丈夫なのか、慎重になっている方も多いと思いますが結論としては、1歳を過ぎれば大丈夫です。
ただ、成長の個人差はあるので、1歳になったらすぐに食べさせるのではなく、しっかり腸内の環境が整ってからあげるのがおすすめです。甘くて栄養価の高いはちみつですが、甘さや栄養は野菜や果物で補えるので、料理やお菓子で使う必要はありません。
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なぜ1歳未満の子どもにはちみつはNGなのか?

1歳未満の赤ちゃんの腸内は、粘液の自浄作用が未熟で腸内環境が不安定です。成人ほど大腸菌が腸内にいないため、生きたボツリヌス菌が入ってしまうと、腸内で増えるため毒素も増え、ボツリヌス症になります。
「でも、子どもの成長によっては1歳過ぎても、腸内が未熟な子もいるんじゃないの?」
こんな声が上がってきそうですが、国立感染症研究所の調べでは、乳児ボツリヌス症の94%は生後6ヶ月未満の赤ちゃんで、症例の最高月齢は11ヶ月の乳児です。このことから、1歳未満の子どもにはちみつをあげてはダメと言われています。はちみつが入っているパンやお菓子などの原材料にも気をつけましょう。
www.niid.go.jp※国立感染症研究所のサイトを参照にしています。
ボツリヌス症とは?
はちみつに含まれるボツリヌス菌について

はちみつにはボツリヌス菌が含まれていますが、どんなものなのか?ボツリヌス菌とは、土壌・海・湖・川などの泥や砂の中にいます。酸素がない環境を好むため、真空パック・瓶詰め・缶詰などの、空気がない環境で増殖しやすいです。
「それなら缶詰などに気をつけて、酸素に触れるものならいつから食べても安心!」
と思ったら、大間違い!
酸素がある環境だと、芽胞というひまわりのような殻に閉じこもり、さらに酸素が少ない『低酸素状態』になると発芽し、毒素を作ります。
つまり、酸素がある環境だと、より毒素を持ってしまうということです。また、ボツリヌスの芽胞は熱にも強く、120度4分以上加熱しないと死滅させることができません。
乳児ボツリヌス症の症状の特徴と対応

どれだけ知識を蓄えて注意しても、防げないこともあります。そんな時、ボツリヌス症の症状について知っておくことですぐに対応することができます。
はちみつや黒糖を食べたあと、子どもの様子がいつもと違う…そう思った時は、このリストを見比べてみましょう。ボツリヌス菌を含む食品を食べてしまい、以下の症状が出た場合は、すぐに病院に行きましょう。※1

はちみつ以外にボツリヌス菌が入っているもの

ボツリヌス菌と言えば【はちみつ】と世の中で認知されてきましたが、はちみつ以外にもボツリヌス菌が入っているものがあります。
黒糖
「黒糖にもボツリヌス菌が入っている!?」ネットで調べると、はちみつの次に黒糖とよく見ますが、なぜ黒糖なのか?
根拠としては、精製度の低い黒糖は120度4分以上の加熱されていないのでは?という理由から、ボツリヌス菌が入っているという結論です。
しかし、黒糖にボツリヌス菌が入っているかについては、黒砂糖工業会の返答が記載された記事があり、一部抜粋してご紹介します。
これまで、沖縄黒糖にボツリヌス菌の混入例は聞いたことがなく、また 平成26年度産の沖縄黒糖においてボツリヌス菌の分析を行ったところ問題 はありませんでした。
ボツリヌス菌は土壌中など自然界に広く分布する菌であるため、黒糖製造の過程で収穫した原料さとうきびからの混入が考えられますが、沖縄黒糖はさとうきびを搾汁してpH調整や不純物を濾過した後、搾汁液を濃縮して製造します。
濃縮の過程でかなりの高温(120度以上)での仕上工程があり、その過程でボツリヌス菌などの耐熱細菌も全て死滅するほか毒素は失活致しますので製品が汚染されることはないものと考えております。
「黒糖にはボツリヌス菌が入っているなら、白砂糖はどうなの?」そちらに関しても回答があり、一部抜粋してご紹介します。
黒糖だけが取り沙汰されていますが、白砂糖などは大丈夫なのでしょうか?精製過程で120度4分以上の加熱がされているのでしょうか?
1.結論から申しますと、一般的な白砂糖(我々は「精製糖」と呼んでいます)の製造工程における加熱温度は通常、80℃以下です。
2.従い、もしボツリヌス菌の芽胞が製造工程中に混入していた場合、その芽胞を死滅するには不十分な温度となります。
3.一方、我々は、精製糖は、ボツリヌス中毒の原因にならないであろうことを確認しています。その理由は以下のとおりです。
①過去の分析試験で、精製糖中にボツリヌス菌が検出されたことはない。
②一般的な精製糖の製造工程には、3段階のろ過工程(1)があり、仮に原料(原料糖)中にボツリヌス菌が混在していたとしても、そのろ過工程で除去されることを確認。
③我が国におけるボツリヌス中毒は、過去、100例以上(2)、報告されているが、その原因として、精製糖が取り上げられたことは無い。
以上の理由から、黒糖にボツリヌス菌が入っている可能性はゼロではないが、因果関係は明白にはなっていません。
コーンシロップ
コーンシロップも黒糖と同様の理由です。コーンシロップ以外にも、水あめなど加熱処理が十分にされていない天然甘味料も、ボツリヌス菌が入っているのでは?という見解です。
その他

自家製野菜ジュースや井戸水からも、ボツリヌス菌が入っていると報告があります。野菜や果物にボツリヌス菌の芽胞が付いていて、そのまま加熱せずに飲んだため発症したとされます。
ミルクの調乳に井戸水を使った際に、なんらかの理由で、井戸水にボツリヌスが入ってしまい発症。
上記2つに関しては、原因と推定されただけでありますが、ボツリヌス菌はいろんな場所に潜んでいるので、紹介した食品以外にも注意が必要です。この食品はいつから食べてもいいのか?と悩んだ時は、調べてみるといいですね。
安心なはちみつの選び方

はちみつは栄養価も高く健康にいいですが、同じはちみつなのに数百円〜数千円と値段が大きく違います。高ければいいと言うわけではないですが、やはり安いものには理由があります。
安価なものは、水あめや人工転化糖を混ぜた『加糖はちみつ』
水分を飛ばすために加熱した『加熱はちみつ』
添加物を加えたり、加熱してしまうと、はちみつの栄養価がなくなってしまい、健康への効能がなくなります。栄養価のないはちみつを子どもにあげても、効果は期待できません。
一切手を加えず、加熱していない『純粋はちみつ』を選びましょう。
よくあるはちみつのQ&A
ボツリヌス菌は加熱すれば大丈夫?
ボツリヌス菌は熱に強いため、120度4分以上加熱しないと死滅させることができません。また、アルコールも効果も期待できないた、「消毒・加熱したはちみつなら大丈夫だろう!」と、間違っても子どもに食べさせないようにしましょう。
はちみつの代用品は?
砂糖は使いたくないけど甘みが欲しいときは、メープルシロップがおすすめです。はちみつと違い、カエデの樹液を高温加熱・殺菌されているため、ボツリヌス菌は入っていません。栄養価やミネラルも砂糖より多いので、はちみつの代わりにあげても大丈夫です。
まとめ

1歳未満の子どもがはちみつを食べ、乳児ボツリヌス症になるという悲しい事故が起きています。2度起こらないように、しっかりと家族みんなが把握して、1歳を過ぎてからはちみつをあげましょう。
「加熱すれば大丈夫!」
「少しにおいが変だけど、食べれるよね?」
そんな甘い考えが、子どもの将来を奪うことになります。少しでも異変を感じたら、食べるのはやめて、子どもの命を守りましょう。
今回もご閲覧ありがとうございます。
よしみけ٩(ˊᗜˋ*)و
参考文献
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