家の中の冷蔵庫に賞味期限切れの食品はありませんか?1週間前の1ヶ月前の1年前のものを見つけたとき、みなさんは廃棄していますか?
世界的に問題となっている食品ロス問題。日本でも年間何百万tもの食品が廃棄されています。
現在、企業や個人でも食品ロス削減に対して様々取り組みを行っていますので、食品ロスについての問題と現状を深めていきましょう。
目次
食品ロスとは?

食品ロスという言葉を、見かけたり耳にすることはありませんか?近ごろ問題の食品ロスですが、日本だけでなく世界でも大きな課題として取り組んでいます。
食品ロスとは、賞味期限切れの食品、食べ残しなどまだ食べれる食品を廃棄することを言います。
もったいないのはもちろん、環境にも悪く資源の無駄にもなるため、
「2030年までに小売・消費レベルにおける世界全体の一人当たりの食料の廃棄を半減させ、収穫後損失などの生産・サプライチェーンにおける食料の損失を減少させる。」というSDGSの掲げる目標があります。
食品ロスはなぜ起こる?

食品ロスにはさまざまな原因がありますが、ここでは4つの工程にわけて紹介します。
生産の段階
野菜や魚や肉などは生産の段階で形がいびつだった場合、食べる分には問題なくても、商品として流通させることができないものは廃棄するケースが多いです。
最近は、訳あり商品としてお値打ち品として販売もされていますが、それも廃棄する中のほんの一部です。
製造の段階
食品を加工していく作業ですが、需要を超える量を製造する、パッケージのずれや印字ミスによっても商品として販売できない場合があります。
こちらも先ほど同様に、中身に問題がなくても出荷することができません。
近年は食品ロス対策として、訳あり商品のみを販売する店舗も増えています。
流通の段階
小売店や飲食店に卸された後は、売れ残ったり、パッケージの不備によって販売できないものは廃棄となります。
飲食店などでは、売れなくなった食品を加工し、新たな商品を生み出していることもありますが、それも廃棄する内の一部です。
店舗では予測を立てて発注しますが、想定外に売れないこともあります。お値打ち品として販売したり、SNSを活用して販促を促すことも増えています。
消費の段階
最後は消費者が購入したあとです。食べ残しや、過剰在庫によって期限が切れてしまい廃棄することがあります。
食品ロスを減らすために、適正な量を見極め計画的に購入することが必要です。
食品ロスに取り組むことで解消する問題

貧困や食料不足の解消
年々物価高になる中、所得は増えず食品に困っている方が多くいます。それにも関わらず、実は日本だけで年間約462万tの食品ロスがあるのはご存知ですか?
コロナ禍をきっかけに、フードパントリーや子ども食堂など、無償や低価格で食事や食品を提供する団体が増えていますが、それでもまだまだ必要とされているのが現状です。
実際のところ食品ロスによる廃棄は、まだ食べられるものがほとんどです。しかし、日本では賞味期限は3分の1ルールに基づいて決められているため、店頭ではまだ食べれる状態のものでも廃棄しています。
海外では、2分の1や3分の2のルールがあるため、現在日本でもルールの見直しの声が上がっていますので、緩和されることに期待です。
環境に優しい
食品ロスがでると廃棄施設にて焼却されますが、その際に二酸化炭素が排出されることが問題です。
食品ロスが出れば出るほど二酸化炭素の排出量が増え、地球温暖化が進むため、食品ロス削減は世界的な課題です。
焼却後は灰となり埋め立てられますが、処理場近くの地下水や環境は汚染されるため、食品ロスを減らすことが環境問題にもつながります。
無駄な費用の削減
食品ロスが出ると、生産した食品の原材料と、廃棄処分の費用と二重のコストがかかります。
廃棄に対してのコストは税金で賄われているため、食品ロスを削減することで、廃棄に使っている費用を別で活用することができます。
フードロスの現状【日本】

近年ニュースでも取り上げられる機会が増えた、恵方巻きやクリスマスケーキの廃棄問題。その日限定の食品は日付が過ぎると、需要がなくなります。
お店側としては、まだ食べることも販売もできますが、そのまま廃棄しています。
年間の廃棄量
みなさん年間でどのくらい食品が捨てられているか知っていますか?
日本では1年で約472万t(令和4年度)の食品ロスがあります。
・10tの大型トラック1290台分日
・日本の人口1人が毎日おにぎり(103g)を捨てている量
おにぎり1個150円とし、それを365日廃棄すると、年間5万円超えのお金を無駄にしています。具体的な例をあげると信じられない量ですね。
2025年最新データ!日本の食品ロス現状と廃棄されている食品量を徹底解説
食品ロス削減推進法
社会全体で食品ロスに対して取り組むことを目的とした法律です。
輸入大国と言われる日本ですが、輸入した食品も廃棄の対象となっています。
食品ロス削減推進法には2つの基本があります。
①国民1人1人が食品ロスに対して意識を持ち、積極的に食品ロスを削減する取り組みをする。
②まだ期限がある食品は廃棄せず、食料として食べる
2つの基本を元に、食品ロスに対しての知識の普及や啓発などを行なっています。
例として、消費者向けに食品ロスに対するリーフレットやチラシを配布、レシピの発信や賞味期限と消費期限の違いについてなど、知識の共有をしています。
食品ロス削減推進法とは?取り組み内容や課題解決策も紹介 | TRYETING Inc.(トライエッティング)
食品リサイクル法
食品の売れ残りや食べ残しを、再利用したり廃棄の量を減らすことを目的とした法律です。
基本の取り組みとして、食品を含む循環資源に対する取り組みが、優先的な課題となっています。
食品削減するにあたり、まずは廃棄の量が出ないように製造量を調整することが必要。それでも、出た場合は肥料や飼料などとして使用します。
ちなみに個人にはこの法は適応されず、スーパーや飲食店など小売店に適応されます。
食品リサイクル法とは何かを取り組み方まで分かりやすく解説!|よくわかる!サステナビリティの基礎知識 | セブン&アイ・ホールディングス
食品ロスの現状【世界】

フランス
2016年2月13日に世界初の法律【食品廃棄禁止法】を制定。
売れ残りを廃棄すると罰金になるため、フードバンクや飼料として再利用していきます
1日180食以上提供しているレストランでは、テイクアウト用袋の【ドギーバッグ】を提供。
食べきれない量を持ち帰ることができ、食品ロスを減らしています。
世界の食品ロス対策はどうなっている? | もったいないライフのすすめ | SHOWA MAGAZINE | 昭和産業株式会社
アメリカ
1967年に世界初のフードバンク活動を開始。210以上もの団体が活動しており、フードドライブも盛んです。
アメリカでは4つの目標を掲げています。
・できる限りフードロスを出さない
・できる限りフードウェイストを出さない
・すべての有機廃棄物のリサイクル率を上げる
・食品ロス、有機廃棄リサイクルを奨励する政策を支援する
デンマーク
2019年より「賞味期限と消費期限の書き方キャンペーン」を実施し、食品ロスを削減するために、企業や活動家によって広まります。
フードシェアリングアプリの「Too Good To Go」などを使い、消費期限が近い食品を消費者に安価で届きやすいのが特徴です。このアプリはデンマークだけに留まらず、ヨーロッパ全域に広がっています。
インド
世界でも有数の農業国であるインドでは、飢餓や食糧問題と同時に食品ロスも同時に大きな問題となっています。
農作物の不当廃棄や収穫の効率が悪く、栄養不足でありながらも食品ロスが多くあるため、広告代理店で食料廃棄物削減の啓蒙活動が話題です。
廃棄された食材を使って巨大ポスターを作り、内容には「ありがとう。あなたたちのおかげでこの広告を作ることができました。」と皮肉を込めたメッセージを、各広告会社の廃棄食品に焦点を当てています。
食品ロスを減らすための取り組み

食品ロスを減らすためには、個人でも家庭でも企業でも努力することが必要です。
家庭
食品ロスは社会的な問題のため、個人でも取り組む必要があります。家庭でもすぐにできる食品ロス対策を見てみましょう。
・必要以上に食品を買わない
・食べ残しをしないようにする
・手前どりを意識する
など、家庭で削減できる量は微々たるものかもしれませんが、何千何万世帯が行うことで、塵も積もれば山となります。
トマト男
トマトと言えば、ケチャップやトマトジュースにトマト缶など、料理に欠かせない野菜です。
子どもが好きな野菜でもあり、食品ロスがないイメージがありますが、みなさん年間でトマトがどのくらい破棄されているのかご存知ですか?
トマトの生産日本一である熊本八代市では、なんと年間1000tもの量が破棄されています。
想像もつかない量の破棄ですが、トマト男さんは10tもの食品ロスに成功!
これからはトマトの加工品に挑戦され、ますます食品ロス削減に向けて活動されています。
農園とフォーク青果店|トマト男(@tomato_nouentofork) • Instagram写真と動画
兵庫県姫路市
兵庫県では、「姫路市食品ロスもったいない運動推進店」の登録制度を推奨しています。
飲食店などの食品ロス削減を推進し、消費者へ食品ロスに対しての意識を高めます。
登録することにより、【Utteco Katteco(売ってコ 買ってコ)byタベスケ】の自治体初となる食品ロス削減マッチングサービスを運用することが可能です。
消費期限・賞味期限が近い食品、市場では売れない規格外の食品などを、お買い得価格で購入することができるサービスです。
無印良品
地域活性化を目指して、地域の生産者や加工会社と協力しサスティナブルな商品開発をしています。
規格外の食品を使い、地産地消の商品を作り食品ロス削減に向けて活動しています。
また、フードバンクを設置している店舗もあるため、個人でも手軽に食品ロス削減に協力することもできます。
オイシックス・ラ・大地株式会社
生産者と消費者をつなぎ、安心安全で美味しい食材を提供するオイシックス。
食品ロス削減に対するフードアクションを、今回は2つご紹介します。
・産地や製造現場で、使用していなかった部位や副産物を加工し、おいしくすることでフードロスを削減する取り組み【Upcycle by Oisix(アップサイクルバイオイシックス)】
・おいしさは変わらない規格外の食品を、もったいない食材として紹介する【サスティナブルマーケット】
このほかにもさまざまな取り組みを行なっています。
セブン‐イレブン
食品ロスの取り組みはコンビニでも導入され始めていますが、セブンイレブンの取り組みをご紹介します。
・販売期限が近いおにぎりやお弁当などを値下げしする【エコだ値】
・製品開発に力を入れ従来よりも消費期限の長い製品を開発
・3分の1ルールを見直し、セブンイレブン全店の飲食や菓子の一部の期限を2分の1ルールに変更
その他にも様々な食品ロス削減についての取り組みを行い、経済産業省の「サプライチェーン イノベーション大賞 2020」の優秀賞と特別賞を受賞しています。
TABTE
食品ロスを削減するためのフードアプリ【TABTE】は、飲食店の廃棄する食材や食品をお得に買えるサービスです。登録している飲食店やパン屋や総菜など、幅広いジャンルを取り扱っているため、選べる幅が多いのが特徴。
価格は店舗ごとに変わりますが、定価よりもお買い得な価格で提供されるため、半額で買える例もあります。
大手企業も導入し、2025年3月現在ユーザー数は100万人を超え、登録店舗数も3000店舗を突破しています。
TABETE – 食品ロスを削減するフードシェアリングサービス
KURADASHI(クラダシ)
社会貢献と経済合理性を企業理念として、食品ロス削減に取り組む【KURADASHI(クラダシ)】。
賞味期限や印字ミスなどによるパッケージ不備によって、本来販売できない商品を、お買い得商品として再流通させる仕組みです。
消費者はお買い得に、メーカーや小売業者は廃棄削減と利益増加、その結果廃棄量が減り社会にも環境にも優しいと、社会全体にいい影響をもたらします。
2024年時点で会員登録数50万人を超え、食品ロス削減に一役を買っている取り組みです。
おトクな買い物でフードロス・食品ロス削減|Kuradashi(クラダシ)
まとめ
食品ロスは社会的な問題ですが、一人一人の取り組みで大きく変わっていきます。
貧困や環境問題や費用削減できるのはもちろんですが、なによりまだ食べれるのにもったいない!
食品ロスに対して、いろんな取り組みがあるので、気になる取り組みがあれば、実践や応援してみて下さい。
今回もご閲覧ありがとうございます。
よしみけ٩(ˊᗜˋ*)و